授乳中のカフェイン|コーヒーは1日何杯まで?目安と赤ちゃんへの影響を医師ママが整理【2026年版】

まずお伝えしたいこと

授乳中のカフェインについて調べると、「母乳に移るからやめたほうがいい」「1日2杯くらいなら大丈夫」「赤ちゃんが寝なくなる」と、書いてあることがばらばらで、かえって迷ってしまうテーマです。出産を終えて、寝不足のなかで一日が始まり、「せめて温かいコーヒーを一杯」と思ったときに、その一杯をためらってしまう。そうした声は少なくありません。

「少量なら問題ないとされている」と知っていても、飲んだものが母乳を通して赤ちゃんに渡ると考えると、判断に迷いやすいテーマです。ここでは、公的機関や研究で示されている考え方をもとに、授乳中のカフェインをどのくらいの量まで、どのように付き合えばよいのかを、順番に整理していきます。「ゼロにしないと赤ちゃんに悪い」と思い込んで毎日つらくなっている場合に、量とタイミングの見当をつける手がかりになる内容です。

結論:1日およそ200mgまでが一つの目安。ゼロにする必要はありません

先に結論をお伝えします。

  • 授乳中のカフェインは、1日およそ200mgまでであれば、母乳を飲んでいる赤ちゃんに健康上の問題は生じにくいと、公的機関が示しています。
  • 200mgは、おおまかにいうとコーヒーをマグカップで2杯弱にあたる量です。
  • つまり、カフェインをゼロにする必要はありません。朝やほっとひと息のタイミングで1杯を楽しむことは、多くの場合、目安の範囲に十分おさまります。
  • ただし、生まれて間もない時期の赤ちゃんは、カフェインを分解する力がまだ十分に育っていません。新生児のうちは、お母さんが少し控えめにし、赤ちゃんの様子を見ながら調整すると安心です。

「我慢すること」そのものが目的ではありません。量とタイミングの見当をつけられるようになれば、必要以上に自分を追い込まずにすみます。なお、妊娠中のカフェインについては妊娠中のカフェイン|コーヒーは何杯までOK?でも整理しています。

なぜ授乳中はカフェインの量を意識するとよいのか

お母さんが口にしたカフェインは、その一部が母乳に移ります。報告されている移行量はおおよそ摂取量の0.06〜1.5%程度とされ、母乳の中のカフェインは飲んでから比較的早く(15分〜2時間ほどで)高くなると考えられています。つまり、母乳に渡るのはごく一部ですが、ゼロではない、ということです。

もう一つ大切なのが、赤ちゃん自身がカフェインを分解する力です。大人はカフェインを数時間で半分ほどに分解しますが、生まれて間もない赤ちゃんはこの力がまだ未熟で、体内にとどまる時間が大人よりずっと長いことが報告されています。月齢が進むにつれてこの力は育っていき、生後数か月をすぎるころには分解のスピードが大人に近づいていくと考えられています。

医学的に整理すると、こうした理由から「新生児期はとくに、お母さんがカフェインを摂りすぎないほうがよい」とされています。ここでも大切なのは、「摂りすぎない」であって「ゼロにする」ではない、という点です。お母さんが適度な量にとどめていれば、母乳を通して赤ちゃんに渡るカフェインはわずかで、多くの赤ちゃんでは問題になりにくいと考えられています。

各機関が示している授乳中の目安

主な機関が示している目安を整理すると、次のようになります。

機関 授乳中のカフェインの目安
EFSA(欧州食品安全機関) 授乳中の女性が習慣的に1日200mgまで摂取しても、母乳を飲む赤ちゃんへの安全上の懸念は生じないとしています
ACOG(米国産科婦人科学会)など 授乳中の中等量(おおむね1日200〜300mg程度)のカフェインは、多くの場合さしつかえないとしています
日本 妊娠・授乳中のカフェインについて法的な上限値は定められていません。海外機関の目安を参考にする形になります

EFSAは、お母さんが1日200mgを摂った場合に赤ちゃんが母乳から受け取るカフェインの量を試算し、それよりかなり多い量でも大半の赤ちゃんで問題がみられなかったことから、200mgには十分な安全の余裕があるとしています。200mgと300mgという数字が出てきますが、これは「どちらかが間違い」ということではなく、どこまで慎重に見積もるかの違いです。本記事では、迷ったときの目安として、より慎重な1日200mgを基準にお話ししています。

飲みものに含まれるカフェインの量(早見表)

では、200mgとは具体的にどのくらいなのでしょうか。内閣府食品安全委員会の資料をもとに、飲みもの100mLあたりのおおよそのカフェイン量を整理します。

飲みもの カフェイン量(100mLあたりの目安)
コーヒー(浸出液) 約60mg
紅茶 約30mg
煎茶(緑茶) 約20mg
ウーロン茶 約20mg
ほうじ茶 約20mg
玄米茶 約10mg
麦茶・ルイボスティー 含みません

実際の1杯はおよそ150mL前後ですので、目安にすると次のようになります。

  • コーヒー1杯(約150mL) … およそ90mg
  • 紅茶1杯(約150mL) … およそ45mg
  • 緑茶1杯(約150mL) … およそ30mg

つまり、コーヒーであればマグカップで2杯弱、お茶であればもう少し余裕がある、というイメージです。こうして数字にしてみると、ふだんの飲み方の多くが目安の範囲におさまることが見えてきます。

一方で量が読みにくいのがエナジードリンクです。製品によって含まれる量に幅があり、中には1本でコーヒー数杯分に相当するものもあります。授乳中は本数を重ねないようにし、購入時に表示を確認しておくと安心です。

授乳とのタイミングは、神経質にならなくて大丈夫

「授乳の直前は避けたほうがいいの?」と気になる方も多いところです。母乳の中のカフェインは飲んでから比較的早く高くなるため、飲むなら授乳の直後にするという工夫を紹介している専門家もいます。次の授乳までに時間があけば、その間にお母さんの体内のカフェインも少しずつ減っていきます。

ただし、これは「必ず守らなければならないルール」ではありません。目安の範囲の量であれば、タイミングをきっちり計らなくても問題になりにくいと考えられています。気になる方が「できるときに取り入れる工夫」くらいの位置づけで十分です。授乳のたびに時計とにらめっこして気疲れしてしまうようでは、かえって本末転倒になってしまいます。

赤ちゃんの様子で気をつけたいサイン

量の目安と合わせて知っておきたいのが、赤ちゃんの様子です。お母さんのカフェインがやや多いとき、一部の赤ちゃんでは、次のような様子がみられることがあるとされています。

  • なかなか寝つかない、眠りが浅い
  • いつもより落ち着かず、ぐずりやすい
  • 目がさえているように見える

こうした様子が続くときは、まずお母さんのカフェインを少し減らして、数日ようすをみるのが一つの方法です。それで落ち着くようであれば、量を調整しながら付き合っていけば大丈夫です。

ただし、赤ちゃんがぐずる・寝ないという理由はカフェインだけではありません。月齢による睡眠リズムの未熟さ、空腹、体調など、さまざまな要因が重なります。授乳のスタイルについては母乳・混合・ミルクの考え方も参考にしてください。「カフェインのせいかもしれない」と自分を責めすぎず、気になるときは一人で抱え込まずに、小児科やかかりつけの医療機関に相談してみてください。

カフェインを抑えたいときの選択肢

「やっぱり温かい飲みもので落ち着きたい」というときに役立つのが、カフェインを含まない、または少ない飲みものです。

  • 麦茶・ルイボスティー・黒豆茶 … もともとカフェインを含みません。
  • カフェインレス(デカフェ)コーヒー … コーヒーからカフェインの大部分を取り除いたものです。「コーヒーの気分を味わいたい」ときの選択肢になります。
  • たんぽぽコーヒー(たんぽぽの根を使った飲みもの) … コーヒーに似た風味で、カフェインを含みません。

一点だけ補足します。これらは「飲めば母乳の出がよくなる」「飲めば体によい」というものではなく、あくまでカフェインの量を抑えながら飲みものを楽しむための選択肢です。特定の不調を和らげたり、母乳の量を増やしたりするものとして扱うのは適切ではありません。気分転換の幅を広げてくれるもの、という位置づけで取り入れてみてください。

気にしすぎないために、覚えておきたいこと

最後に、こころが少し軽くなる整理をお伝えします。

「昨日はつい飲みすぎてしまった」と気づいたときも、一度の量で過度に心配する必要はありません。大切なのは、毎日の習慣としてどのくらい摂っているか、という全体の傾向です。気づいた日から少し調整すれば十分です。

カフェインは、コーヒーやお茶だけではない点も覚えておくと役立ちます。コーラなどの清涼飲料、ココア、チョコレートにも少量含まれます。神経質に数える必要はありませんが、「コーヒーは控えているのに赤ちゃんが落ち着かない」というときは、ほかからも少しずつ摂っているのかもしれない、と思い出してみてください。

そして何より、カフェインを控えること自体が目的ではありません。目的は、お母さんが少しでも穏やかに、無理なく毎日を過ごせることです。産後の体と寝不足のなかで、好きな一杯まで取り上げてしまっては、気持ちがもちません。産後の疲れについてはママの疲れが取れないときもあわせてご覧ください。目安を知ったうえで、自分が心地よくいられる範囲を見つけていただけたらと思います。

まとめ

  • 授乳中のカフェインは、1日およそ200mg(コーヒーでマグカップ2杯弱)までが一つの目安です。
  • ゼロにする必要はなく、「摂りすぎない」を意識すれば十分です。
  • 生まれて間もない時期の赤ちゃんはカフェインを分解する力が未熟なため、新生児期はとくに控えめにし、赤ちゃんの様子を見ながら調整すると安心です。
  • 赤ちゃんが落ち着かない・寝つきにくい様子が続くときは、まずカフェインを少し減らして数日ようすをみて、気になるときは医療機関に相談してください。

Dr.つのみ|臨床系専門医が執筆・監修しています。


免責事項

本記事は、一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、医療上の診断・治療・個別の医学的アドバイスに代わるものではありません。お母さんの体調や持病、服用中のお薬の状況、赤ちゃんの月齢や体調によって適切な対応は異なります。気になる症状がある場合や、ご自身のカフェイン摂取について判断に迷う場合は、かかりつけの産婦人科医・小児科医など医療機関にご相談ください。

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