子どものインフルエンザ予防接種|何歳から・何回打つ?時期と注射・経鼻の違いを医学的に整理【2026年版】

子どものインフルエンザ予防接種は、「打っても結局かかるのなら意味がないのでは」「小さいうちは打たないほうがよいのでは」と言われることがあり、加えて「何歳から」「何回」「いつ」といった情報が資料ごとにばらばらで、迷いやすいテーマです。厚生労働省や日本小児科学会などの公的な情報では、生後6か月から接種でき、13歳未満は原則2回、流行が始まる前に受けるのが基本という形で整理されており、ワクチンの主な役割は「かからないこと」よりも重症化や合併症を抑えることに置かれています。この記事では、子どものインフルエンザ予防接種について、何歳から受けられるのか、年齢別の回数と間隔、接種の時期、注射と経鼻タイプの違い、受ける前に確認しておきたいことを、公的な情報にそって整理します。

結論:まず押さえておきたいこと

  • 注射(不活化)ワクチンは、生後6か月から受けられます。6か月未満は対象になりません。
  • 回数は年齢で分かれ、6か月以上〜13歳未満は2回、13歳以上は原則1回が目安とされています。2回のときは2〜4週間の間隔をあけます。
  • 時期は、流行が本格化する前の10月から12月上旬ごろまでに済ませるのが一つの目安です。効果が出るまでには接種後およそ2週間かかるとされています。
  • 2024年からは、注射をしない経鼻タイプ(フルミスト)も国内で使えるようになりました。国内で承認された対象は2歳以上〜19歳未満で、1回で完了します。ただし受けられない条件があります。
  • 子どものインフルエンザワクチンは任意接種(定期接種ではない)です。受けるかどうか、どのタイプにするかは、体質や持病を踏まえてかかりつけの小児科医と相談して決めます。

何歳から受けられる?──生後6か月から

注射(皮下注射)で行う不活化インフルエンザワクチンは、公的な情報では生後6か月から接種の対象とされています。生後6か月に満たない赤ちゃんが対象に含まれていないのは、この時期はワクチンに対して十分な反応が得られにくいと考えられているためです。

生後6か月未満の赤ちゃんを守る観点からは、まわりの家族が接種を検討することが一つの方法として挙げられます。妊娠中の方自身の接種の考え方については、別の記事で整理しています。乳児のいる家庭では、同居する大人やきょうだいがそれぞれの年齢に応じて受けておくことが、家庭内での広がりを抑えるうえで一つの選択肢になります。

何回打つ?──年齢別の回数と間隔

インフルエンザワクチンの回数は、年齢によって整理されています。公的な情報にもとづく一般的な目安は次のとおりです。

6か月以上〜13歳未満:2回

この年齢の子どもは、体のなかにインフルエンザに対する免疫の記憶がまだ十分でないことが多いため、2回接種が基本とされています。1回目と2回目の間隔は2〜4週間で、免疫のつきやすさの観点からは4週間ほどあけるのがよいとされています。

13歳以上:原則1回

13歳以上は原則1回とされています。ただし、基礎疾患があるなど、医師が必要と判断した場合に2回接種を検討することもあります。回数の判断は診察のうえで決まります。

「1回だけ」でも受ける意味はある?

2回が基本とされる年齢でも、都合がつかず1回しか受けられないこともあります。2回受けたほうが免疫がつきやすいとされていますが、1回受けておくことに意味がないわけではありません。予定どおりに進まなかったとしても、受けられる範囲で備えておくという考え方でよいでしょう。回数や間隔について迷うときは、かかりつけの小児科で確認してください。

2回接種が必要な年齢では、2回目まで含めて流行前に間に合わせるための逆算が大切になります。この点は次の「いつ打つのがよい?」で整理します。

いつ打つのがよい?──流行前の10月〜12月上旬が目安

日本でインフルエンザが流行しやすいのは、例年おおむね12月から翌年3月ごろです。ワクチンは接種してすぐに働くわけではなく、効果が出てくるまでにおよそ2週間かかり、その後しばらく持続したのち、数か月かけて少しずつ下がっていくとされています。こうした立ち上がりと持続を踏まえると、流行が本格化する前の10月から12月上旬ごろまでに接種を終えておくのが、一つの目安として案内されています。

2回接種が必要な年齢では、たとえば1回目を10月ごろ、2回目をその2〜4週間後に受けると、流行のピークに向けて備えやすくなります。園や学校の予定、きょうだいの接種時期とあわせて、早めに計画しておくと落ち着いて進められます。具体的な接種日程は、住んでいる地域の流行状況やワクチンの供給状況によっても変わるため、かかりつけの小児科で相談して決めるのがよいでしょう。

注射(不活化)と経鼻(フルミスト)の違い

子どものインフルエンザワクチンには、従来からの注射(不活化ワクチン)に加えて、2024年からは注射をしない経鼻タイプ(フルミスト/弱毒生ワクチン)が国内でも使えるようになりました。それぞれの特徴を整理します。

注射(不活化ワクチン)

  • 対象:生後6か月から
  • 回数:6か月以上〜13歳未満は2回、13歳以上は原則1回
  • ウイルスを不活化したワクチンで、妊娠中や多くの持病がある場合でも選択肢になりやすいとされています。

経鼻タイプ(フルミスト)

  • 対象:国内承認は2歳以上〜19歳未満
  • 回数:年齢にかかわらず1回(両方の鼻に噴霧)
  • 注射ではないため、針が苦手な子どもにとって受けやすいという声があります。
  • 弱毒生ワクチンのため、受けられない条件があります。重い喘息や喘鳴(ゼーゼー)の症状がある子ども、本人や近い家族に免疫不全がある場合、妊娠している場合などは対象外とされています。また、接種後1〜2週間は乳児との濃厚な接触を控えるよう案内されることがあります。

どちらのタイプが向いているかは、年齢や持病、家庭の状況によって変わります。とくに経鼻タイプは受けられない条件があるため、選ぶ際はかかりつけの小児科医と相談して判断します。

「かからなくなる」わけではない──期待できることと限界

インフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザにまったくかからなくなる、というものではありません。公的な情報でも、ワクチンの主な役割は、かかったときの重症化や合併症を抑えることにあると説明されています。子どもでは、インフルエンザに伴ってまれに重い合併症が起こることが知られており、その負担を軽くすることが接種の大きな目的とされています。

「打ったのにかかった」という経験から効果を疑う声もありますが、かかること自体をなくすための手段ではなく、かかったときの経過をやわらげることを期待するもの、という前提で考えると位置づけが整理しやすくなります。免疫は時間とともに下がっていくため、毎シーズン受けることが基本とされています。

受ける前に確認しておきたいこと

卵アレルギーがある場合

インフルエンザワクチンは製造の過程で鶏卵が使われますが、含まれる卵の成分はごくわずかとされ、卵アレルギーがあっても接種できることが多いとされています。ただし、過去に強いアレルギー反応が出たことがある場合などは慎重な判断が必要です。自己判断で見送ったり受けたりせず、これまでのアレルギーの経過を伝えたうえで、かかりつけ医に相談してください。

接種当日の体調

発熱しているときや体調が優れないときは、接種を見合わせることがあります。当日の体温や様子を確認し、気になる点があれば受診時に伝えます。

きょうだい・同居家族の接種

家庭内での広がりを抑える観点からは、それぞれの年齢に応じてまわりの家族も接種を検討することが一つの方法です。とくに生後6か月未満の赤ちゃんがいる家庭では、周囲の大人やきょうだいの接種が守りにつながる場合があります。

費用と自治体の助成について

子どものインフルエンザ予防接種は任意接種にあたるため、費用は原則として自己負担になります。金額は医療機関やワクチンのタイプ(注射・経鼻)によって幅があります。一方で、子どもの接種費用の一部を助成している自治体もあり、内容は地域によって異なります。助成の有無や対象年齢、金額、対象となる医療機関は、住んでいる市区町村や、通っている医療機関の案内で確認するとよいでしょう。2回接種が必要な年齢では、2回分の費用と時期をあわせて見通しておくと計画が立てやすくなります。

受診・相談の目安

接種の可否や回数、注射と経鼻のどちらを選ぶかは、子どもの年齢・持病・アレルギーの経過によって変わります。判断に迷うときは、かかりつけの小児科で相談してください。接種後に、じんましんが広がる、呼吸が苦しそう、ぐったりするなど、いつもと明らかに違う様子がみられた場合は、速やかに医療機関に連絡・受診しましょう。子どもの予防接種全体のスケジュールについては未就学児の予防接種スケジュールで、妊娠中の接種の考え方については妊娠中のインフルエンザ予防接種で整理しています。

Dr.つのみ|臨床系専門医が執筆・監修しています。

この記事は、公的機関の情報にもとづいて一般的な内容を整理したものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さんの接種の判断については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

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