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本記事は情報提供を目的とした医療系コラムです。医療判断の代替にはなりません。気になる症状は必ずかかりつけの小児科にご相談ください。
まずお伝えしたいこと
赤ちゃんの夜泣きについて調べると、月齢ごとの目安、原因、対処法、寝かしつけの工夫など情報量がとても多く、夜中の眠れない頭で読むには疲れてしまうテーマです。
実際、同じように悩む方は少なくありません。
夜泣きが続く時期は、「これでよかったのかな」「自分の何かが足りないのかな」と感じてしまう夜が続くこともあります。けれど、夜泣きは赤ちゃんの発達の過程でみられるもので、お母さんの関わり方が足りないから起こるものではありません。
このサイトでは、夜泣きについて「医学的に分かっていること」と「分かっていないこと」を切り分け、夜泣きを悪化させないための基本だけをやさしく整理します。「あれもこれも試さなければ」と疲れる前に、まず読んでいただけるとうれしいです。
結論先出し:夜泣きは病気ではなく、成長過程の一部
最初にお伝えしたい結論はとてもシンプルです。
- 夜泣きは、生後3〜18か月くらいに多く見られる、成長過程の一部です
- 原因は1つではなく、睡眠リズムの発達途上、空腹、温度、不快感、夢に近い段階の脳活動などが重なって起きるとされています
- 多くの場合、1歳半〜2歳ごろまでに自然に落ち着いていきます
- 「泣き止ませる正解」を探すよりも、夜泣きを悪化させない仕組みをつくる方が現実的です
- 強い嘔吐・呼吸の異常・けいれん・38度以上の発熱を伴う場合は、夜泣きの枠を超えるため小児科への相談を検討してください
「夜泣き=育て方が悪い」「夜泣き=赤ちゃんに何か問題がある」という前提から、まずは降りていただきたいと思います。
夜泣きの「医学的に分かっていること」
赤ちゃんが夜中に泣くのには、いくつかの背景があるとされています。
睡眠リズムが発達の途中にある
新生児期の睡眠は、大人のように「夜に長くまとめて眠る」形ではなく、短い眠りを繰り返す状態です。生後3〜4か月ごろから少しずつ昼夜のリズムができ始めますが、夜のまとまった眠りが安定するには時間がかかります。途中で覚醒しやすく、覚醒のたびに泣いて知らせるのは、この月齢では発達上ふつうのことです。
浅い眠りと深い眠りを行き来している
赤ちゃんの睡眠は、大人より浅い眠りの割合が大きいことが知られています。浅い眠りのときには、ちょっとした音や体温の変化、夢に近い脳活動で目が覚めやすく、これも夜泣きの背景の一つです。
不快の表現手段が「泣くこと」しかない
おむつ、空腹、暑さ・寒さ、衣服の擦れ、歯ぐずり、何となく寂しい感じ。赤ちゃんはこれらをまだ言葉で表現できません。「泣いて知らせる」が当面の主な手段なので、原因が1つに絞れないことが多くなります。
一方で、原因がはっきり分かっていないケースも多い
夜泣きは、「これをすれば必ず止まる」という対応が確立されているわけではありません。複数の研究でも、家庭ごと・赤ちゃんごとに有効な対応に差があると報告されています。だからこそ、「自分の試し方が悪いから止まらない」と考える必要はありません。
月齢別の傾向:いつ始まり、いつ落ち着くか
おおまかな傾向として、以下のように見ておくと心の準備がしやすくなります。
生後0〜2か月
ほとんどの赤ちゃんは「夜泣き」というより、2〜3時間ごとの覚醒・授乳のリズムです。この時期に「夜泣きがひどい」と感じる場合、まずは授乳間隔・室温・おむつなどの一次的な原因を確認してみてください。
生後3〜6か月
睡眠リズムが少しずつまとまり始めますが、まだ夜間に複数回起きるのがふつうです。ここから「夜泣きらしい夜泣き」が始まる赤ちゃんもいます。
生後7〜12か月
夜間覚醒が多くなりやすい時期と言われています。歯の生え始め、運動発達の節目(はいはい・つかまり立ち)、人見知り・後追いなど、昼間の情報量が増える時期と重なります。
1歳〜1歳半
多くの場合、夜中に起きる回数が少しずつ減っていきます。ただし環境の変化(保育園入園、引っ越し、家族構成の変化)で一時的にぶり返すこともあります。
1歳半〜2歳
ほとんどの赤ちゃんで、夜泣きは少しずつ卒業の方向に進んでいきます。
「うちの子はいつ終わるのか」が見えないと、つらさは何倍にも感じられます。「だいたい1歳半〜2歳までに落ち着く子が多い」と知っておくだけでも、夜の景色が少し変わります。
夜泣きを悪化させない、4つの基本
夜泣きを「止める」のではなく、「悪化させない」ための基本です。
1. 夕方〜寝かしつけまでの過ごし方を整える
寝る直前まで強い光(テレビ・スマホの画面)、激しい遊び、興奮するイベントを続けると、入眠が難しくなり、夜中の覚醒も増えやすくなります。「お風呂・授乳・部屋を暗くする」という流れを毎日同じ順番で繰り返すと、赤ちゃんに「これから眠る時間」というサインが伝わりやすくなります。
2. 寝室の環境を整える
室温は夏も冬も「大人が薄手で快適に過ごせる温度」を一つの目安にしてください。乾燥しすぎ・暑すぎは夜泣きの背景になります。寝具は赤ちゃんの顔まで覆われない範囲のものに留め、特に1歳未満では、口や鼻をふさぐ可能性のあるものを近くに置かないことが大切です(乳幼児突然死症候群への配慮として、各国の小児科ガイドラインで共通して示されている内容です)。
3. 起きたときの対応をできるだけ淡々と
夜中に起きたとき、強く明るくしてしまうと、赤ちゃんは「今は活動の時間だ」と学習してしまいます。最低限の明かりで、おむつ・授乳・抱っこを淡々と行い、終わったら静かに寝かせる、という静かな対応を繰り返すと、夜と昼の区別がつきやすくなります。
4. 完璧を目指さない
「同じ時刻に・同じ手順で・毎日」が理想ですが、現実は仕事・子どもの予定・体調などで揺れます。8割できれば十分です。崩れた日は「明日また戻せばいい」で構いません。
やらなくていいこと
夜泣き対策として広まっている方法の中には、医学的に裏付けが弱いものや、家庭への負担が大きすぎるものもあります。
- 「ねんねトレーニング」で必ず寝かせようとする:「ねんねトレーニング」には何種類かの方法がありますが、研究での評価は分かれていて、決定的なやり方はありません。試したい場合は、独学ではなく、小児科のかかりつけ医に相談してから始めると安心です
- 夜中に毎回、授乳量や授乳時間を細かく記録する:眠れない夜に詳細な記録を続けると、お世話をする方の負担が大きくなります。気になる日だけメモする程度で十分です
- 「○○すれば必ず寝る」と謳う方法を、片っ端から試す:方法を増やすほど、続かなかったときの自責感が増えます。一度に1つ、2〜3日試して、淡々と評価するくらいが続けやすいです
- 赤ちゃんの夜泣きを、パートナーや家族のせいにしすぎる、または自分のせいにしすぎる:原因は1つではなく、誰のせいでもありません
小児科に相談を検討する目安
夜泣きの多くは経過観察で大丈夫ですが、以下のサインが見られる場合は、小児科のかかりつけ医に相談する時期かもしれません。
- 38度以上の発熱が続いている
- 強い嘔吐や下痢を繰り返している
- ぐったりして反応が鈍い
- けいれん、呼吸が苦しそうな様子
- 体重が増えない、明らかに食欲が落ちている
- 月齢に対して、泣き方や様子が普段と大きく違う
夜泣きそのものというよりは、「夜泣きの中に紛れている可能性のある体の不調」を見ていただく相談です。判断に迷う場合は、地域の小児救急電話相談(#8000)も活用できます。
なお、乳幼児医療は小児科の領域であり、産婦人科・産科の領域ではありません。出生後の体調・発達相談は、できれば「かかりつけ小児科」を1つ決めておくと、夜中に迷う場面でも判断がぐっと楽になります。
保護者が眠れない夜にできるセルフケア
赤ちゃんの夜泣きが続く時期、お世話をする方の睡眠不足はとても深刻な問題になります。
- 昼間、赤ちゃんが寝ているタイミングでは、家事より先に自分の睡眠を選んでいい日があります
- 夜中の対応を、ご家族やパートナーなど頼れる相手と、曜日や時間帯で分担する
- 数週間にわたって強いつらさ・気分の落ち込み・涙が止まらない状態が続く場合は、産後うつや育児ストレスの可能性があるため、産婦人科・心療内科への相談を検討してください
- 「自分は休んではいけない」「赤ちゃんのために自分を犠牲にすべき」という気持ちを、一度だけ脇に置いてみてください
赤ちゃんの夜泣きをゼロにすることはできなくても、「夜泣きの中で大人がつぶれない仕組み」を作ることは、家族全体の医療・健康の話としてとても大事なテーマです。
まとめ
夜泣きは、成長過程の一部であり、お母さんの育て方の問題ではありません。1歳半〜2歳ごろまでに自然に落ち着いていく赤ちゃんが多く、その間にできることは「止める」ことよりも「悪化させない」ことです。
具体的には、毎日同じ流れで寝かしつける、寝室の温度と暗さを整える、夜中の対応を淡々と行う、完璧を目指さない、の4つで十分です。発熱・嘔吐・けいれんなどの体調変化が紛れているときだけ、小児科のかかりつけ医に相談すれば足ります。
そして、ご自身の睡眠もどうか大切にしてください。眠れない夜が長く続くときは、それは医療相談を考えていい段階のサインです。
免責事項
本記事の情報は一般的なものであり、個別の医療判断を代替するものではありません。赤ちゃんの体調や症状についてご不安がある場合は、必ずかかりつけの小児科医にご相談ください。記事の内容により生じた問題について、当サイトは責任を負いかねます。
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